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『自社株買い』についてご存知ですか?

『自社株買い』についてご存知ですか?

先週、「決算発表のスケジュールはチェックしていますか?」を記載させて頂きましたが、決算発表において、たまにみかける言葉があります。
それは、「自社株買いを行う」です。
決算発表を受けての新聞等のコメントでも「自社株買いが評価を受けて株価が上昇」とみかけます。

では、この『自社株買い』とはどういうことなのでしょうか?
今回は、『自社株買い』について記載させて頂きます。

『自社株買い』は、会社が自社の株式を購入することです。つまり、市場から自社の株式を回収することになります。
では、なぜそれが評価されるのでしょうか?
それは、自社の株式の価値を高める(株主還元する)ことが可能とされているからです。
なぜ、株式の価値が高まるのかと言いますと、市場から株式を回収することにより、市場で出回っている株式が減少し、需要と供給の関係から株式の価格が上がりやすくなるからです。
株式市場において、株価は、買う人、売る人の需要と供給の関係で成り立っています。同じ需要であっても、供給する量が減れば、当然、需要が高まることになり、株価は上がりやすくなります。
これが、株式の価値を高めることになるのです。
これを数字的に表現すると、発行済み株式の総数が減るため一株当たりの純利益(EPS)が増加することになります。

一株当たりの純利益(EPS)の算出方法は、
一株当たりの純利益(EPS)=純利益 ÷ 発行済み株式数
です。

また、株価は、「一株当たりの純利益(EPS)×株価収益率(PER)」で算出できます。
※株価収益率(PER)算出方法
株価収益率(PER) = 時価総額 ÷ 純利益
時価総額 = 株価 × 発行済み株式数
では、極端な例ではありますが、実際の数字で計算してみます。

例)
A社の状況
発行済み株式数 : 10,000株
純利益     : 10億円
  一株当たりの純利益(EPS) = 10億円 ÷ 10,000株
               = 10万円
ここで、自社株買いを5,000株行ったとします。
そうすると、発行済み株式数は10,000株から5,000株差し引かれますので、5,000株となり、一株当たりの純利益(EPS)は、以下のように求められます。

一株当たりの純利益(EPS) =10億円 ÷ (10,000株 - 5,000株) = 20万円

  発行済み株式数の半分の自社株買いを行ったため、一株当たりの純利益も2倍の20万円になります。

自社株買い前のPERが5倍であった場合、株価は以下のように算出できます。
株価 = 10万円(EPS) × 5倍(PER) = 50万円
では、自社株買いを行ったあとはどうかといいますと(※PERの変動はないと仮定した場合)
株価 = 20万円(EPS) × 5倍(PER) = 100万円
となり、株価は高くなります。

しつこいですが、イメージが付きやすいように、あくまで極端な例ですが、このように自社株買いは一株当たりの純利益が上昇することで株価が上がりやすくなると言うことになります。

他にも、株式の価値が高まると言うことは、敵対的買収の防衛策にもなります。
株式の価値が高まることは、敵対的買収にかかる資金も膨らむことになり、買収が出来にくく(失敗)する効果が出てくるからです。

では、自社株買いのデメリットは無いのでしょうか?

デメリットが無いとは言えず、会社としては、積み重ねてきた利益を一度に使ってしまうことになるので、資産が減少します。よって、うまくいかなければ経営を圧迫してしまう可能性もあります。
従って、企業の資本力に十分な余力がある、適切なタイミングで実行できるかによってデメリットにもなりうるのです。 結果、自社株買いの成否は、経営者の手腕にかかっているのではないかと思われ、自社株買いを行ったからと言って、株価が上がるとは限りませんので、ご注意ください。

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